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競売ドキュメント・不動産裁判 40 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 6

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競売ドキュメント・不動産裁判 40 【敷金】の法的解釈、最高裁の判例は? 6




**期間の定めのない建物賃貸借は、短期賃貸借に該当。


期間の定めのない建物賃貸借は、短期賃貸借に該当。

旧賃貸人に差入れられた敷金に関する法律関係は、旧賃貸人に対す

る賃料の延滞のないかぎり、前記賃貸人たる地位の承継とともに、

当然、旧賃貸人から上告人(新賃貸人)に移転すると解するのが相当。






裁判要旨

期間の定めのない建物賃貸借は、民法第三九五条の短期賃貸借に該

当すると解するのが相当である。


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●6


最高裁判例  


事件番号 昭和36(オ)28

事件名 敷金返還請求

裁判年月日 昭和39年06月19日

法廷名 最高裁判所第二小法廷

裁判種別 判決

結果 棄却

判例集巻・号・頁 第18巻5号795頁

原審裁判所名 高松高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

判示事項 期間の定めのない建物賃貸借と民法第三九五条。

裁判要旨 期間の定めのない建物賃貸借は、民法第三九五条

の短期賃貸借に該当すると解するのが相当である。

参照法条 民法395条,民法602条,借家法1条

全文 全文




主    文

     本件上告を棄却する。

     上告費用は上告人の負担とする。


         
理    由

 上告代理人阿河準一の上告理由第一点について。

 借家法の適用のある建物賃貸借については、昭和一六年法律第五

六号による同法の改正により第一条の二が創設され、賃貸借の解約

申入につき正当事由の存在を必要とすることになつたので、右改正

により、建物賃貸借の解約申入に制限が加えられたことは否定でき

ない。しかし期間の定めのない建物賃貸借は、「正当事由」さえ存

在すれば何時でも解約申入によりこれを終了させることができるの

であつて、期間の到来まで解約の余地のない長期賃貸借(民法第六

〇二条の期間をこえる賃貸借)とは異なるから、前記借家法の改正

後においても、期間の定めのない建物賃貸借は民法第三九五条の短

期賃貸借に該当すると解するのが相当である(大判・昭和一二年

(オ)八五九号、同年七月一〇日判決、民集一六巻一二〇九頁参

照)。けだし、かく解しても、抵当権の実行により建物を競落した

者が賃貸借の解約申入を為す場合においては、民法第三九五条の短

期賃貸借制度の趣旨は、前記「正当事由」の存在を認定する上にお

いて極めて有力な資料とすべきであるから、前記のように解しても

抵当権の不当な犠牲において賃借権を保護することにはならないか

らである。そして、賃貸借の登記がなくても、賃貸家屋の引渡がな

された以上、右賃貸借をもつて抵当権者(競落人)に対抗しうると

解するのが相当であるから(前掲判決参照)、本件建物賃貸借が民

法第三九五条の短期賃貸借にあたるとした原審の判断は正当である。

所論は、独自の見解に立つて原判決を非難するに帰し、採用できな

い。

 同第二点について。

 本件建物賃貸借が民法第三九五条の短期賃貸借に該当し、従つて、

右賃貸借を抵当権者(競落人)に対抗しうると解する以上、競落人

たる上告人は、競落による所有権移転とともに、右賃貸借の賃貸人

たる地位を承継するのであるから、旧賃貸人に差入れられた敷金に

関する法律関係は、旧賃貸人に対する賃料の延滞のないかぎり、前

記賃貸人たる地位の承継とともに、当然、旧賃貸人から上告人に移

転すると解するのが相当であり、所論のごとく、敷金返還請求権の

み競落人に承継されないと解するのは正当でない。原判決に所論の

違法はなく、所論は、独自の見解に立つて原判決を非難するに帰し、

採用できない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官奥野健一

の意見ある外、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

 裁判官奥野健一の意見は次のとおりである。

 民法三九五条は、同法六〇二条の期間を超えざる短期の賃貸借に

限り、抵当権の登記後に登記されたものであつても、抵当権者に対

抗し得る旨を規定する。そして、所謂期間の定めのない賃貸借が右

の短期の賃貸借に該当するか否かは、一律に断ずることはできない。

けだし、期間の定めのない賃貸借でも、右六〇二条の期間を超える

場合もあり、然らざる場合もあり得るからである。また、期間の定

めのない賃貸借は当初より右六〇二条の期間を超ゆる期間を定めた

賃貸借でないから、所謂長期の賃貸借に当らないことはいうまでも

ない。そこで期間の定めのない賃貸借は少なくとも、右六〇二条の

期間の限度においては右三九五条に定める所謂短期の賃貸借として

抵当権者に対抗せしめても、右三九五条の趣旨に反するものとはい

えないから、その範囲において期間の定めのない賃貸借は、右三九

五条に定める短期の賃貸借に当るものと解するのが相当である。若

し苟も期間の定めのない賃貸借であれば右六〇二条の期間経過後で

もすべて右の所謂短期の賃貸借に該当すると解することは、結果に

おいて民法六〇二条の期間を超える長期の賃貸借を抵当権者に対抗

せしめることになるから、右三九五条の趣旨に反することになり、

不当である。

 本件家屋の賃貸借は、期間の定めのない賃貸借であるが、民法六

〇二条の三年の期間経過前に当事者の合意解除により消滅したとい

うのであるから、本件賃貸借は抵当権者及び競落人に対抗し得るも

のというべきである。従つて、原審の判断は結局正当であり、論旨

は理由がない。

 なお、昭和三五年(オ)第三四五号、昭和三七年七月二〇日第二

小法廷判決(最高裁判所裁判集民事六一号七一一頁)における私の

補足意見を引用する。

     最高裁判所第二小法廷

      裁判長裁判官    奥   野   健   一

      裁判官    山   田   作 之 助

       裁判官    城   戸   芳   彦

      裁判官    石   田   和   外



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(参考)



*【判示】(はんじ)

判決文などの中で、事実の認定や法の解釈について裁判所の判断を

示すこと。




*【信義則(信義誠実の原則のこと。民法第1条2項)】

一般社会において、共同生活をしていく以上、互いに相手の信頼を

裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという原則のこと

です。

ある行為が権利の行使か、権利の乱用かは、信義則によって決めら

れるとになります。



*【抗弁】(こうべん)

民事訴訟で、訴訟当事者の一方が、相手方の申し立てや主張を排

斥するために、別個の事実を主張すること。




【民法】

(基本原則)

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなけれ

ばならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。




(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

第三百九十五条  抵当権者に対抗することができない賃貸借によ

り抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲

げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建

物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、

その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

一  競売手続の開始前から使用又は収益をする者

二  強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始

後にした賃貸借により使用又は収益をする者

2  前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使

用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当

の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期

間内に履行がない場合には、適用しない。






(賃貸借)

第六百一条  賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を

相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払

うことを約することによって、その効力を生ずる。


(短期賃貸借)

第六百二条  処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権

限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借

は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。

一  樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 十年

二  前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 五年

三  建物の賃貸借 三年

四  動産の賃貸借 六箇月





(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各

当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合に

おいては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれ

ぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。

一  土地の賃貸借 一年

二  建物の賃貸借 三箇月

三  動産及び貸席の賃貸借 一日

2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次

の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。



(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)

第六百十八条  当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、

その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、

前条の規定を準用する。



(賃貸借の更新の推定等)

第六百十九条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用

又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議

を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をした

ものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の

規定により解約の申入れをすることができる。

2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、そ

の担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、

この限りでない。





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●●最高裁判所等の【判例】調査方法●●



最高裁判所等の判例検索方法


1.裁判所ホームページ 

    http://www.courts.go.jp/

    裁判所ホームページをクリック。


2.ホームページ右上「裁判例情報」をクリックする。

「判例検索システム>検索条件指定画面」になる。


3.左側 「統合検索」の下の「最高裁判所判例集」をクリック

「最高裁判例 検索画面」になる。


4.その画面の「特定検索」は事件番号等がわかっているときに使

う。


5.わからないときは「詳細画面」を使う。

「民刑区分」の「民事」の箱にチェックを入れる。


6.そのあと、一番下の「全文」の検索窓を使う。

全文の最初の窓に検索語句「○○○○」を入力。

複合語句の場合は、その下に「and」の文字があるが、その下の

窓に「○○○○」を入力する。つまり両方の語句を含むけんさくで

す。


7.一番下の「検索」をクリックする。

何件か検出される。


8.検索された判例の左側の「最高裁判例」をクリック。

判例の内容が表示される。


9.判例の内容の一番下に「全文  PDF全文」という文字があ

る。「PDF全文」をクリックすると、「主文」「理由」のPDF
 
ファイルをダウンロードできる。


*****************************




(続く)

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